• 『R-1』の決勝に進めなかった「筋肉芸」。ニューヨーク・嶋佐和也の“微妙な肉体”
COLUMN
2021.03.06

『R-1』の決勝に進めなかった「筋肉芸」。ニューヨーク・嶋佐和也の“微妙な肉体”

ピン芸人・SHIMASAさん

ひとり芸No.1決定戦『R-1グランプリ』。この華の舞台に挑むも、儚くも準々決勝で敗れた一人の芸人がいる。彼の名は嶋佐和也。
ニューヨークのボケ担当としておなじみの嶋佐さんが“SHIMASA”と名乗り準々決勝で披露したのは、まさかの筋肉芸だったという。これは『ターザン』としては見過ごせない! その真相を探るべく、SHIMASAさんを訪ねた。

「もう二度とやらないと思う」

「ピンネタは今回がほぼ初めてでした」と遠い目をする嶋佐さん、いやSHIMASAさん。

「いい経験ができましたよ。『ルミネ the よしもと』でピンネタをできるなんて。…でも、ピンネタはもう二度とやらないと思います。YouTubeの『ニューヨーク Official Channel』で、ですか? その予定も僕の中ではないですねぇ」

そんなの惜しすぎる! ムリを承知で『R-1』に挑んだ“筋肉芸を見せてほしい”と懇願すると

「小道具がないので完全再現はできないんですけど、それでも問題ないですか?」と、身につけていた洋服を脱ぎ始める。SHIMASAさんのラスト筋肉芸(?)をまずは目に焼き付けてほしい。

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SHIMASAさんによる筋肉ネタ
どうも〜、SHIMASAでーす。《ゴールドジム》からやってきました〜! よろしくお願いし…
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
マッスルゥ〜〜!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
や〜、しかし今日はべっぴんさんが多いですね。
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
べっぴんさん、べっぴんさん、
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
ひとつ飛ばして…
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
ダブルバイセップス!!!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
…すみません、関係ないところでつい…ポージングしちゃいました。
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
今日はたくさん笑って、腹筋の方、鍛えてくださいね。それではいきましょう!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
ショートマッスル!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
『パチンコ』
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
よおし、当たった当たった! 右打ち、右打ち〜っと♪
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
ん? (バキバキバキバキ!! )
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
あ〜〜!! マッチョだから力強すぎて壊しちゃった…。
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
すみませ〜ん! 店員さん…、
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
ごめんなサイドチェスト!!!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
…ハァ。なんかちょっと、おかしいですね。なんかちょっと、変な感じするなあ…?
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
すみません、ちょっ、ちょっといいですか?
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
(鏡を持ち出す)
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
すみません…アレ? うそでしょ…!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
すみません! 僕そこまでマッチョじゃなかったです!! そこまでマッチョじゃないのにマッチョ漫談しちゃってました!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
え…? すみません…うそでしょ…?
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
すみません! 僕ソフトマッチョでした! ソフトマッチョの分際で、僕ゴリゴリのマッチョ漫談やっちゃってました!! すみません!!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
え〜、ちょっと待って…? うそでしょ…。
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
すみません! 僕ぎりソフトマッチョでもないくらいのレベルでした!! そんなやつがゴリゴリのマッチョ漫談して、すみません!!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
だからか…。だから、ヘンな感じだったんだ…。
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
でも…僕、胸動くんですよ…?
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
(ピクピク…ピクピク…ピクピク…)
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
(ピクピク…ピクピク…ピクピク…)
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
…すみません! 右は動きませんでした、左だけでした!!
SHIMASAさんによる筋肉ネタ
すみません、また鍛え直してきます。ありがとうございました〜!!

「NSC養成所以来のピンネタでした」

秘蔵の筋肉芸を特別に披露してくれたSHIMASAさん。では、これから『R-1』について思いの丈語っていただこう。

SHIMASAさん
嶋佐和也(しまさ・かずや)/1986年生まれ。お笑いコンビ「ニューヨーク」では主にボケを担当し、『M-1グランプリ』2019年から2年連続ファイナリストに。昨年開催の『キングオブコント』は準優勝に輝く。TwitterTVで冠番組『ニューヨークジャック』を隔週木曜配信中。テレビ朝日で地上波初の冠番組がスタートすることが決定。

——あれ、そのお洋服はSHIMASAさんの私服ですか?

いいえ違います! 実はさっきのネタの後半に、「服を着替えてもう一回漫談させてください」と断って“コロッケさんの私服風の洋服”を着て登場するんです。そのひとボケのために渋谷じゅうを走り回って揃えた衣装です。

総額約3万円! このコートなんて2万円もしました。〈109メンズ館〉を全店舗巡って「一番、コロッケさんっぽい」と思ったのがコレでした。このネックレスは〈MEGAドン・キホーテ〉で。

SHIMASAさんのネックレス

コロッケさんのお好きな「クロムハーツ」っぽくないですか? 結局、この格好をしたのは準々決勝の一度きりでした。この衣装に袖を通すのは今回の撮影が最後ですかね。

——また切ないことを…。そもそもR-1に出場した経緯は?

去年の『M-1』前のタイミングで、単独ライブでも普段お世話になっている放送作家の方に「R-1出た方がいいんちゃう?」と急に言われまして。マジか〜と思いつつ、いったんR-1に出るかどうかの判断は保留して、M-1のことだけを考えることに。

で、M-1を終えた時に、またもやその方に「R-1、出たら?」と言われたんですよね。その時点でエントリーの締め切りが5日後に迫っていたのでとりあえずエントリーだけ済ませて。

…エントリーをした手前、出るしかない。時間が全く無いなかでネタをイチから考え始めました。

——嶋佐さん=ニューヨークというイメージが強くて、ピン芸に挑まれたこと自体、意外でした。

実はNSC養成所の在学中に一回だけR-1に出ましたが、今回はその時以来でした。コンビの漫才やコントと違って、一人だとフリップネタ、コント、リズムネタ…何をやってもいい。

制約が無さすぎて「本当にどーしよう?」と迷い、バイク川崎バイクさんやおいでやす小田さん、ゆりやん(レトリィバァ)たちに相談しました。その結果、コンビでできることをしても意味がないから、今までやったことがないタイプの芸をしようと考え、“裸芸”に行き着いたんです。

「中途半端な“微妙なカラダ」

——最近筋トレに励む芸人さんが多いですが、その影響は?

それは特になかったです。ネタを練っている時に「自分の体型を利用できたら面白そうだな」とふと思いまして。全然マッチョじゃないですが、ダルダルというわけでもない。正直、中途半端な“微妙なカラダ”してませんか? それをネタにできないか、と。

だから自分の中では筋肉芸という表現よりは、裸芸という方がしっくりくるんですよね。今思えば、準々決勝の段階でパンイチなのはすでに最年長の俺だけでした。

ほかの挑戦者はみんなちゃんと服を着て、ちゃんと喋くりしてました…。決勝メンバーももちろん、裸芸は誰一人いない。俺より下の世代の芸人は、もうネタで裸にはならないかもしれませんね…。

SHIMASAさん

——R-1の参加資格に変更があり、今までは芸歴不問でしたが、今年から芸歴10年以内に。SHIMASAさんはまさしくラストイヤー組の一人でした。

そうですよ。ヘンな話、周りから「(可能性)あるんじゃないの?」と言われることも。僕にとってはラストイヤーでしょう。それに、僕たちコンビも長年賞レースに出る中でさんざん苦しめられてきた“勢い枠”的なところで「SHIMASA、通るんじゃない?」…正直そんな下心も持ち合わせながら挑みましたが、しっっっかりと、準々決勝で落とされましたね。

「いや、なんでガチで審査してんだよ?」と!!

——…準決勝に進んでいれば“敗者復活者”枠での決勝出場もありえました。

言うまでもなく、決勝まで残る人は全員面白いので、さすがにそこは甘く見てませんよ。ただ準々決勝敗退なんて、あまりに中途半端で…!

これまた、勝手に決められていた出場順も良くない! 僕がまさかの大トリだったんですけど、その前が吉住ZAZY。二人とも決勝まで残りましたよ。SHIMASAだけしっかり落ちてる! …すみません、恨み節で(笑)。

SHIMASAさん

——SHIMASAさんの悔しさがひしひしと伝わります…。

ただ、今回はお客さんがすごく温かくて、結構笑ってもらえたのは本当に良かった。あと、二回戦の時点でフジテレビ『ノンストップ!』の密着取材がつくという、想定外の出来事が起きまして!

ラストイヤーだったので、“R-1二回戦最後の挑戦”とのタイトルで、新聞のラテ欄には“ニューヨーク嶋佐に密着”とありました。お昼の情報番組に取り上げてもらえるなんて、嬉しいしびっくりですよ。だからこそ、応援してくださった方には本当に申し訳なくて…!

それに準々決勝まで進むと、人間、だんだん欲が出てくるもの。「マジで決勝に行きたいな」という気持ちになったところで、僕のR-1は終わりました。

「マッチョの気持ちはすごく分かる」

——皮肉を利かせつつも的を射た人物描写こそニューヨークのネタの持ち味だと思うのですが、トレーニーに対して抱く印象をぜひ聞いてみたいです…。

めちゃめちゃマッチョでメシまで徹底している人は異常というか、強迫観念に駆られているのか?と聞きたくなる。でもそういう、どんどん衝動に駆られる気持ち、実は僕も分かるんですよ。

大学生になったばかりの頃は毎日ヒマすぎて、プロテインを飲んだり家で筋トレをしまくっていたら、体重が5kgくらい増えて、見た目が明らかに変わったんです。その時の喜びは覚えてるし、当時の肉体を今も保ちたいという気持ちがなんとなくある。

一度鍛えてカラダが変わると、そういう思考になるんですよね。

——SHIMASAさん、意外にも“マッチョ肯定派”なんですね!

やっぱりカッケーなと思いますよ。昔から格闘技やプロレスが好きで、自分自身も10代は空手に打ち込み、最近までキックボクシングジムに通っていました。

男は、マッチョを見たら「スゲー!!」と素直に感動する人がほとんどじゃないかな。そもそもマッチョというだけでなんか面白いですよね。僕も本当はもっとマッチョになりたいですよ。最近は怠けてますけど。

SHIMASAさん

——とは言え、先ほどの筋肉芸では漫談を楽しみつつも、引き締まったシルエットにも見入ってしまいました。

ホントですか? 普段から体型はちょっと気をつけたいというか、ダラっとしたカラダになりたくないと思ってはいるんですよ。幸い、僕は筋肉がつきやすいうえに、ちょっと休んでも筋肉がそんなに落ちない方。

でも最近は毎日かなり忙しいので(マネージャーを見ながらニタリとするSHIMASAさん)。たまに腕立て伏せを30回を3セットほどしたら終わりにしちゃってます。

ある程度胸の厚みがあるとパッと見た時に“鍛えてる感”が出ますし、腕立て伏せなら上半身を満遍なく鍛えられるんで、とりあえず腕立て伏せ。今始めようかなと思ってるのは有酸素運動です。汗をもっと日常的にかきたいし、体力をつけたくて。

——芸人さんのお仕事は体力勝負という面もありそうです。

先日、単独ライブでSMAPさんの『SHAKE』の1〜2番をめちゃくちゃ簡単な振り付けで踊ったんですが、それだけでゼイゼイ言っちゃって。「ロンハースポーツテスト2021」に出た時も、出演者の中では僕らは若手枠だったのに、成績が年長の人より劣っている部分も結構あって、もっと鍛えた方がいいなーと感じました。

すぐに眠くなっちゃいますしね。体力をつけたら頭の回転ももっと早くなるかもしれませんし(笑)。

——SHIMASAさんが理想とするカラダは?

長瀬智也さん(即答)。主演を務める『俺の家の話』で長瀬くんはプロレスラー役を演じてますけど、本当にベストな体型だなあと思って。

今、日本人の中で一番かっこいいと思いませんか? 僕、ヒトの中で長瀬くんが一番好きなんです。運動、頑張らないとなあ。

 SHIMASAさん

取材・文/門上奈央 撮影/山城健朗

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