「シューズは“プロレスラー・SANADA”の命。“大切な女性”のように接しています」プロレスラー・SANADA
text: Kai Tokuhara photo: Yoshio Kato illustration: Shinji Abe
初出『Tarzan』No.804・2021年2月10日発売
レスラーとしての美意識。
「自分にとってはプロレス=ロングシューズ。小さい頃からそんな確固としたイメージを持ちながら、武藤(敬司)さんや蝶野(正洋)さんらがカッコよく履いて闘う姿を見て強烈な憧れを抱いていました。だから今でもリングには必ずロングシューズで上がりますし、何なら現役レスラーの中でトップクラスに長いと思いますよ」
そう誇らしげにシューズへの思い入れと美意識を語ってくれたSANADA選手。これこそが自分のアイデンティティである、と言わんばかりにデビュー時から一貫して同じ長さ、形にこだわっている。
「もう14年になりますかね。もちろんデザインはコスチュームが変わるたびに新しくなりますが、形はほとんど同じです。最初は慣れなくて上まで紐を締めるのにすごく時間がかかりましたけど、今では両足合わせて3分以内できっちり履けますね」
替えのきかない存在。
「誰よりも高く跳べる自信がある」という、そのジャンプ力を生かしたアグレッシブで立体的なプロレスが魅力だけに、想像以上にシューズは激しく消耗する。だからこそ日々のケアを怠らない。
「シューズもコスチュームも女性と接する時と同じくらい大事に扱っています。試合が終わるたびに汚れを落としてソールを磨きますし、同じ会場での連戦でも控室に保管して帰ることは絶対にしない。なぜって、好きな女性を置き去りになんてできないでしょう? ただ、これ一足でスペアがなく、替えが利きませんから、次の日忘れたらアウトですけどね(笑)」