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歌舞伎役者・市川猿之助は「筋トレもストレッチもしない」

市川猿之助(いちかわ・えんのすけ)/市川段四郎の長男。2012年四代目市川猿之助襲名。演出も務めるスーパー歌舞伎Ⅱや女形、舞踊など幅広く活躍。ドラマ『半沢直樹』での怪演も話題に。9月1日〜26日に歌舞伎座『九月大歌舞伎』を控える。

休む間もなく身と心を酷使しているように見える5人に聞いた、体力&気力回復メソッド。今回は、ドラマ『半沢直樹』での演技でも注目されている歌舞伎役者・市川猿之助さんの時短リセット術。

本能で楽しめること、それがリセットかな。

歌舞伎の舞台はもとより、ドラマ『半沢直樹』の伊佐山泰二役における濃厚な演技など各方面で圧倒的な存在感を放つ市川猿之助さん。まさか普段からあの表情で過ごすわけではないだろうし、さぞかしオン、オフの切り替えも上手なのかと勝手に想像していたら、返ってきたのは意外な答えだった。

「僕はそもそもリセットするという概念がないんですよ。常にオンです」

市川猿之助
歌舞伎の公演など長時間楽屋で過ごす日は座って10分間昼寝。「“カラダにいい昼寝は30分まで”と本で読んで以来、心掛けています」。

梨園の一家に生まれ、幼い頃から舞台に立ち続けてきた猿之助さんにとって、日常のすべてが歌舞伎とともにあったし、今後もその生活は続いていく。つまり、四六時中市川猿之助として過ごすのはごく自然なことなのだ。

「傍から見れば、舞台が終わればオフだと思われるかもしれないけど、自分の中では全然切り替わらない(笑)。子供の頃からずっとそうだったからね。歌舞伎は日常生活であり仕事。これは変えようがないし変わりようもないわけで、その点では勤め人の皆さんとは少し感覚が異なるかもしれません」

とはいえ舞台は体力勝負。筋トレなどカラダのメンテナンスは?

「悪いけど筋トレストレッチもしない(笑)。運動に限らずルーティーンを作ると、義務になるのが嫌なんですよ。40代も半ばになって若い頃のように動けないこともあるけど、それを受け入れるのが歌舞伎の世界でもあるんです。僕らに定年はありませんから」

何事も受け入れ、抗わない。だから自分のカラダの声も素直に聞ける。

「無理して鍛えても、それがどこかで変なベクトルに働く気がするんです。でも舞台に立てば走り回るし、大声を出すからちゃんと筋肉は使っている。それを何十年とやっているしね。

実際、長年の酷使で腰の状態も良くないけど、それは宿命だからうまく付き合うしかない。もちろん調子がいいに越したことはないから、整体には通っていますよ。昔からいろんな先生の施術を試して、今は一番フィーリングの合う方にお願いしている。それがリセットといえばリセットなのかもしれないね」

撮影の合間にササッと外出。これも気分転換法。

意識しているわけじゃないけど、と前置きしてこんな方法も挙げてくれた。

「地方公演に行くと、ホテルから劇場まで必ず歩く。それは健康のためじゃなく、景色を眺めたり街の匂いを嗅いだり、その土地に息づく雰囲気を感じたいから。あとは夜、飲みに行くのにいいお店を探すため(笑)。それも結果的にリセットになっているかな」

市川猿之助
「ドラマの撮影の合間など、1時間空くとなったら必ず外出しますね。散歩したり買い物したり…。基本的に歩くのが好きなんだね」

その傾向は海外でさらに顕著になる。

「例えば、パリに行った時などは、ルーブル美術館だ、凱旋門だって一日3万5,000歩くらい歩いていますよ(笑)。市川猿之助と気づかれることもないし、その意味では海外に行くのが一番スイッチが切れる気がするな。もっと言えば、日本を飛び立つ寸前の空港の搭乗口。あの瞬間が一番リラックスしているかも」

この日の取材はテレビ局の楽屋。少し時間が空くとぷらっと外出しては買い物したり本屋へ行ったり。場合によっては昼寝もするし、好物の差し入れがあればおいしくいただく。

「そう考えるといろんな形でリセットしているんだね。でもそれは本能で楽しいと感じたことをやっているだけ。これからもずっとそうだと思います」

市川猿之助
この日の楽屋差し入れは〈紫野和久傳〉の蓮根菓子《西湖》。「これが昔から好きでねえ。おいしいものが一番リセットできますよ」。
市川猿之助さんのリセットルール
  1. 昼寝はあくまで短時間。10分程度。
  2. 少し時間があれば外出して歩き回る。
  3. 一番のリセットはおいしい食べ物。

取材・文/黒田創 撮影/北尾 渉 スタイリスト/三島和也(tatanca) ヘアメイク/眞弓秀明(plug-Link)

初出『Tarzan』No.794・2020年8月27日発売

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