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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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南太平洋に浮かぶ118のフランス領ポリネシアの島々で、最も大きなリゾートアイランドであるタヒチ。日本から赤道と日付変更線を隔てたところに位置するこの国では、ユニークなレースが毎年の恒例イベントとして開催されている。手作りの“バナナバーベル”を担いだランナー達が順位を競い合う〈Bananas Of Fruits Carriers Racing〉だ!
かなり斬新。しかしこんなにも見応えのあるレースがタヒチにあったなんて、まさに棚からぼた餅、瓢箪から駒だった。
筆者カドカミは、タヒチアンダンスを踊るのも観るのもチョ〜大好き。よって毎年7月開催のタヒチ一番の祭り〈ヘイヴァ・イ・タヒチ(以下ヘイヴァ)〉の名物イベントであるダンスコンテストを観るために、今年は現地を訪れた。
約2週間にわたる〈ヘイヴァ〉期間中は各国の観光客で賑わうと同時に、現地に住む人たちにとっても一年で最も心浮き立つシーズン。
期間中はタヒチの伝統的な競技大会や催しが島内各所で行われるためだ。ダンスコンテスト然り、ココナッツを的にした槍投げやアウトリガーカヌーのレース、石を用いた重量上げなどタヒチアンの血が騒ぐイベントがてんこ盛り。
中でも私カドカミの心に深く刺さったのが、フルーツ担ぎ競争こと〈Bananas Of Fruits Carriers Racing〉。15〜50kgもの“バナナバーベル”を背負って女性は1.5km、男性は3.0kmの特設コースを走る中長距離レースである。
7月11日。レース開始の約1時間前、会場の〈トアタ広場(Place To’ata)〉に到着した。首都パペーテの中心部にあるこの広場は普段は人々の憩いの場だが、この日はフルーツ担ぎ競争のために観覧席を特設。
ふと運営スタッフの集うテント付近を見ると、偶然にもバナナバーベルを作っている真っ最中!
全て手作りのバナナバーベルの重量は15、20、30、40、50kgの5段階。どの階級に挑むかは、出場ランナー本人がエントリー時に選べる(女性は15kgのみ)。
レース開始が近づくにつれ、スタート地点に続々ランナーが集まってきた。準備体操がてら踊りだす人、黙々とストレッチに勤しむ人、写真撮影を求められて応じる人などさまざま。レースにかける思いは十人十色だ。
彼らに共通するのは、伝統競技に対する誇りと勝負にかける闘志(そして、カラダの大きさ)。レース前の雰囲気に当てられて、見ているだけでもドキドキ。場内のテンションも高まってきた!
レース開始のピストル音が鳴った瞬間、出場者の目の色が変わった。地面に置かれたバナナバーベルに向かって一目散にダッシュ。ヘビーなはずのバーベルをひょいと担ぐと、脇目も振らず全力疾走。
ゴールを前にしたランナーの中には、歓声をあげるギャラリーに向かって笑顔で手を振って応える人も。またギャラリーも最後の一人が完走するまで、声援と拍手を送り続ける。なんだかすごくいい感じ。
タフな走りをみせてくれたランナーも彼らを励まし続けるギャラリーも、それぞれの形で伝統あるレースを心から楽しんでいる様子。何と言っても一年で一度きりの晴れ舞台、熱が入るのも納得だ。
〈Bananas Of Fruits Carriers Racing〉はタヒチ国民に限らず、18歳以上であれば国籍問わず出場できるそう。来年はランナーとして参加できるように日々のトレーニングを頑張るか…と、カドカミは結構マジで思っています。
取材・文/門上奈央 撮影/yOU(河崎夕子)-NMT.inc