「こいつと一緒だから試合で技だけに集中できるんです」プロBMXライダー・中村輪夢

プロBMXライダー・中村輪夢。2020年の東京五輪では「BMXフリースタイル パーク」が正式競技になるが、世界選手権のファイナリストという実績を持つ彼には当然メダルの期待がかかる。そんな、若きアスリートの“バディ”。雑誌『ターザン』の人気連載〈It's My Buddy!〉より。

text: Kai Tokuhara photo: Yuichi Sugita illustration: Shinji Abe

(初出『Tarzan』No.748・2018年8月23日発売)

「家がBMXの店だったので2歳からずっと乗り続けています。もうどこへ行くにもBMXと一緒(笑)。カラダの一部です」

そう語る中村輪夢選手は、この日も当然のように愛車にまたがりながら撮影スタジオに現れた。その一心同体ぶりに、さぞ長く使い込まれたBMXかと思いきや意外にも数か月前に新調したものだとか。

「競技に使うBMXは、大体半年サイクルで乗り替えています。フレームが鉄でできているとはいえ、ジャンプなどの衝撃が日々加わるので実は消耗が早いんですよ」

最新の一台は、より細部にこだわった。

「一番は軽さ。小柄でも自分の手足のように扱えるよう全体をコンパクトにして、世界で2本しかない特注の軽量フレームで作ってもらいました。黒にところどころ紫が入ったデザインも気に入っています!」

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米フロリダ発祥の自転車ブランド〈SUBROSA〉から提供されているというBMX。サイズは20インチ。特殊フレームによって、強度は保ちながらも、フレームだけなら2㎏そこそこという飛躍的な軽量化を実現。シックなブラックフレームに対して、カモフラのシートやパープルのペダルなどがアクセントに。

2020年の東京五輪では「BMXフリースタイル パーク」が正式競技に。2年後もまだ18歳(!)の中村選手だが、世界選手権のファイナリストという実績を持つ彼には当然メダルの期待がかかる。

「BMXに乗るのは自分が楽しいから。一日も嫌気が差したことはないです。難しい技をマスターしたと思ったらすぐに新しい課題が出てくる。そうやって完成形のないところに向かって少しずつ進化していくことが面白くてしょうがないんです」

「それに、これ一台で世界の人たちと繫がっているんだと思うとやめられないです。だから五輪でも、自分のために思い切り楽しんで、その結果がメダルだったらうれしいですね」。