「グローブは、自分の力や思いが宿る“親友”のような存在」プロキックボクサー・那須川天心
格闘家、那須川天心選手。「格闘技をもう一度メジャーに」という大望を抱く無敵の19歳の“バディ”は、純白のグローブでした。雑誌『ターザン』の人気連載〈It's My Buddy!〉より。
text: Kai Tokuhara photo: Yuichi Sugita illustration: Shinji Abe
(初出『Tarzan』No.742・2018年5月31日発売)
格闘技界で今最もホットな男、那須川天心選手。プロデビュー以来、主戦場のキックボクシングのみならずMMAでも圧倒的な強さでKOの山を築くその姿には、まさに最強の格闘家を表す「パウンド・フォー・パウンド」という言葉がしっくりくる。
そんな無敵の19歳(!)が、日々の練習を共にしているのがこの純白のグローブだ。
「僕は相当打ち込む方なので早いペースで新しいものに替えますが、消耗品とはいえ一度自分に合うと思ったグローブは同じタイプを使い続けます。この〈BOXER〉のものは本当に握りやすく、打ちやすい」
自身を「モノに執着しないタイプ」と言いつつ、グローブにはこんな特別な思いも。
「グローブは友達。だから自分の力や思いみたいなものがストレートに宿る感じがします。これをつけてるからいいパンチが打てているとか、スピードが上がってるとか。そういうのを結構信じる方なので(笑)」
「格闘技をもう一度メジャーに」。そんな夢の実現に向けて、今日も”同志”と一緒に一心不乱にサンドバッグを叩き続ける。
「極力人を殴りたくないですし、やっぱり誰かと戦うことって怖いのは怖い。毎試合、迫りくる何かを感じるというか。でもいざリングに上がれば”やるかやられるか”の世界。グローブをつけてスイッチを入れ、本気で倒しにいきます。ただ、グローブがあるからリングに上がることが許されて、自分の拳と相手の命を守ることができる。そういうプロとしての自覚は常に大切にしながら戦っていきたいと思っています」