- 公開:
フルマラソン完走メソッド①|フォーム改善
走ることにある程度慣れてきたならば、もう一段階ステップアップを目指そう。そう、ハーフマラソンやフルマラソンなど長い距離へのチャレンジだ。トレーナー・齊藤邦秀さん監修の「フルマラソン完走メソッド」を全4回、4日連続でお届けする。1回目のテーマは「フォーム改善」。
フルマラソンへの4つのステップ
客観的にフォームを見直し、前方への推進力を身につける。
「ステップアップの道筋としては、まずはトレーニングで長い距離を走れるカラダにカスタマイズすること、次に全身の関節可動域を広げてより大きなフォームで走れるようにすること、さらに長時間走ってもケガしないよう体幹を鍛え、そのうえで練習の距離を徐々に積み重ねていく。これが王道です」(トレーナーの齊藤邦秀さん)
第1回目は「フォーム改善」のメソッドを紹介。
「ただ走るだけなのに、フォームの癖も何もないんじゃない?」。なかにはそう思う人がいるかもしれない。しかし答えはNO。
走り始めたばかりのランナーには、「フォームが上下動する」「ストライドが狭い」「左右アンバランス」の典型的なフォームの悪い癖が3つある。各ステップのエクササイズを紹介するので、ランの前や後、雨の日など、地道に続けてみてほしい。
アプリで自分のフォームをチェック。
《DKH》 Run-DIAS
スマホで撮影したランニング映像を、AIが自動解析して関節の位置を割り出し、多くのランナーのデータや知見を活用して作成された基準に基づき評価。ストライドや上下動、左右アンバランスなど、ランナーの平均との比較でフィードバックが行われる。

タイプ別・修正トレーニング
① 上下動タイプ
「まずはフォームの上下動の癖。筋力とスタミナを費やして走っても、着地時のカラダの沈み込みや走り出しの際の伸び上がりなど、せっかくのパワーを別の方向に逃がしてしまっているランナーはかなり多い。このタイプはそのパワーを前進することに振り向けるためのトレーニングが必要です」(齊藤邦秀さん)
② ストライドが狭いタイプ
「これもよく見かけるタイプです。小さな歩幅でチョコチョコ走っていると、5~10kmならまだしもハーフ、フルの距離になったときに歩数が大幅に増えてその分脚へのダメージも大きくなります。ランジなど沈むタイプのエクササイズでカラダの使い方を変え、一歩一歩のストライドを広げていけば自然とタイムが伸びますし、脚にかかる負荷も軽くなっていきます」
③ 左右アンバランスタイプ
「着地時や走り出しでカラダが左右にぶれ、ぎくしゃくした走り方になっている人も多いですが、これも大きなパワーロスの要因。そのまま放っておくと、どんなにたくさん練習しても膝や関節などに負担がかかるばかりで、ケガのリスクも高まってしまいます。今のうちに改善した方がいいですね」
withコロナでのマラソン大会参加。
レース仕様のカラダになったらいざエントリー…と行きたいところだが、このコロナ禍で例年であれば毎週のように全国で開催されているはずの大規模レースは軒並み中止。なかなかモチベーションも上げにくいのが実情だ。
「発想を転換しましょう。最近ではごく小規模のレースや、GPSアプリを活用して遠隔地からオンラインで参加できるマラソン大会などが少しずつ増えてきています。また、SNSなどを通じて少人数で集まり、自分たちなりのレースを行う動きも増えてきています。こういう時代だからこそ、個々で工夫してイベントを作り、やる気を高めることが必要になってきていると思います」(齊藤邦秀さん)
もちろん、一人ハーフマラソンや一人フルマラソンに挑戦したって構わない。withコロナ時代のランニングの楽しみ方は、これからどんどん広がっていくに違いないのだから。
取材・文/黒田創 撮影/山城健朗 スタイリスト/ヤマウチショウゴ ヘア&メイク/村田真弓 取材協力/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ)
初出『Tarzan』No.798・2020年10月22日発売