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〈ナイキ〉のランニングシューズ3足を履き比べ! シューズトライアル体験レポート
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どこまでも、気持ちよく、楽しく走りたい。多くのランナーの願いをサポートするべく開発された〈アシックス〉の3つのシューズ。あなたは、どの〈RIDE〉で走る?
2019年の春。ミッドソールに縦横の穴のある、揺り籠のような形のシューズ《メタライド》の登場は、ランナーたちを驚かせた。ビジュアルにインパクトがあったのも理由の一つだが、着用感が新しいものだったからだ。
分厚いミッドソールと、踵に搭載されたリアフットゲルの効果で着地はソフト。シューズに体重を預けると、ソールのカーブによって、自然と重心が爪先に移る。着地から蹴り出しまでがスムーズで、地面を力んで蹴る必要がない。とても楽に走れることに、ランナーたちは驚いたのである。
走るとはどういうことなのか、効率的に走るとはどういうことなのかというテーマを長きにわたって研究してきた〈アシックス〉。その中で、エネルギー消費の軽減にフォーカスし、走行効率を追求したシューズの開発に至った。
足関節の過度な動きを抑え、エネルギー消費を軽減することをコンセプトとし、構造仮説を立てて開発に着手。《メタライド》のソールデザインは、自転車と、コロンコロンと物体が転がる擬態語にインスピレーションを得たという。そして、コンピューターシミュレーションによって導き出された走行効率の向上が実現できるであろうソール形状をベースに、デザイン・設計・材料選定を行い、サンプルが作られた。
《メタライド》では7段階のサンプル作製段階があり、各段階で複数のバリエーションを作ったため、サンプルの数は70種類以上に。これは普段のシューズ開発と比較して、はるかに多い数だという。試行錯誤の末に誕生したガイドソールテクノロジーは、少ないエネルギーで足を前に運ぶ、走行効率の高さを実現。その基本設計は、《グライドライド》《エボライド》にも踏襲されている。
ミッドソールは上層のFLYTEFOAM、下層のFLYTEFOAM PROPEL、踵部に搭載したRearfoot GELの3層で構成。爪先上がりのカーブとミッドソールの材料硬度設計が足首の可動域を抑制する。ランナーは少ないエネルギーで長く走れる。
昨秋登場した《グライドライド》は、走行効率の良さを維持しながら、クッション性、走りやすさ・気持ちよさを追求したモデルだ。ミッドソール上層のフライトフォームをやわらかくし、アウトソールも樹脂製の材料からラバー材に変更、接地がやわらかく、高いクッション性を感じやすい設計となっている。
《メタライド》は、前足部と踵部の高低差がないゼロドロップだが、《グライドライド》ではドロップを5mmに設定。前足部に採用された材料の効果もあり、足の回転モーションがスムーズなものになる。また《メタライド》よりもソールの爪先反り上がりの開始位置が前にあるため、接地感覚が従来のシューズに近いのも特徴だろう。
《メタライド》のミッドソールはトップが硬め、ボトムがやわらかめの設計だが、《グライドライド》はトップもボトムもやわらかめの設計。接地時のやわらかな感触が向上している。ドロップは5mmで、前足部に採用された材料の効果により、前に転がる感じが体感しやすい。
今シーズンの新作となる《エボライド》は、走行効率とともに軽量性を追求。3モデルの中では最も軽い。ドロップは《グライドライド》と同じく5mm。ミッドソールには反発性とクッション性に優れたフライトフォーム プロペルを採用。ワンピース構造にすることで軽量化を図っている。軽やかな履き心地でスピードが出しやすいので、走行効率だけでなく速さを求めるランナーも満足できるはずだ。
《グライドライド》と同様の爪先上がりの専用ラストを採用している。ドロップは5mm。ミッドソールは、クッション性と反発性を両立したFLYTEFOAM PROPELのワンピース構造。走行効率と軽量性を追求した。
《メタライド》《グライドライド》《エボライド》ともに走行効率を追求したシリーズであるが、《グライドライド》はクッション性、《エボライド》は軽量性に優れ、《メタライド》と比較するとどちらもクセが少ない印象だ。 自分のスタイルに合った一足で、長く、楽にランを楽しもう。
取材・文/神津文人 撮影/山城健朗