病気のリスクを減らすには「笑って、泣く」こと|怒りの病気学
取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/小山 健 取材協力/村上正人(国際医療福祉大学教授、山王病院心療内科部長)、坂田隆夫(日産厚生会玉川病院循環器科副部長)
(初出『Tarzan』No.720・2017年6月8日発売)
怒りが交感神経の過緊張状態であることは繰り返し述べてきた。問題はどう交感神経を鎮め、病気を防ぐかである。もっとも有効とされているのが有酸素運動だ。
「有酸素運動をすると、怒りを感じているときと同様に交感神経が優位になり、ファイティングモードに入ります。だから、怒りによって起こった興奮状態を、運動することで同様の状態にすり替えてしまえばいいのです」(村上先生)
もう一方の副交感神経を活性化することも、脳の炎症を抑える効果があるといわれている。ちなみに、交感神経を鎮める薬は存在しても、副交感神経を活性化する薬は適応が限られている。そこで取り入れたいのが、深呼吸、瞑想、笑い、マッサージ、涙活などの自分でできるケア方法だ。
「これらは副交感神経に働きかけ、カラダをリラックス状態に導くことができます。例えば“笑い”の場合、副交感神経が高まるから笑えるのではなく、笑う動作を先にすることで頭に“楽しい”という信号が入る。すると脳にα波と呼ばれる脳波が出てイライラから解放される。
本や映画に触れて感動する、泣くことも効果があります。怒りを感じたときはカラダを動かすなど“形から入る”ことも試してみてください」(坂田先生)
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