怒りっぽいあなた、「タイプA」じゃないですか?|怒りの病気学

取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/小山 健 取材協力/村上正人(国際医療福祉大学教授、山王病院心療内科部長)、坂田隆夫(日産厚生会玉川病院循環器科副部長)

(初出『Tarzan』No.720・2017年6月8日発売)

強い目標達成衝動、闘争心旺盛、野心的。これらを含む下記のような行動特性はすべて「タイプA」と呼ばれる人に独特のパターン。自分や周囲の人に思い当たる節はないだろうか?

強い目標達成衝動/闘争心旺盛/野心的/時間に追われている感じを持つ/いら立ちを態度に表す/挑戦的な言動/過敏で警戒的/早口なしゃべり方/多動である/食事のスピードが速い/一度に多くのことをやろうとする/神経質な癖

「タイプAの一番の問題は、敵意に満ちた攻撃性です。該当する人の血液を調べてみると、ストレスに反応して脳内で分泌されるノルアドレナリンや、興奮性の伝達物質であるドーパミンが高く、脳やカラダが常に覚醒状態にある。そのため心臓や血管に負担がかかりやすいのです」(村上先生)

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健康的なビジネスマンをタイプA群とタイプB群に分け、8年半にわたって経過を調べたアメリカの研究。タイプA群はB群に比べ、心筋梗塞や狭心症の虚血性心疾患の発症率が約2.2倍も高い。

穏やかでマイペースな性格傾向を持つタイプBと比べ、タイプAの人は心筋梗塞・狭心症のリスクが2倍近くに跳ね上がる。たかが性格、されど性格。怒りの感情は決して侮れない。さらに喫煙者が多いのもこのタイプAである。

「タバコを吸うとニコチンがドーパミンを刺激します。ドーパミンは脳の前頭葉に働いて不満や不快感を鎮める効果があるので、一時的に元気になった気がする。

しかしやめると再びイライラするのでタバコを吸う。タイプAの人はこうしてニコチン依存症になっているケースが多いです。しかもニコチンは血管収縮作用があるので、結果、循環器疾患のリスクが上がってしまいます」(村上先生)

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