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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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自分の健康は「日々の己の選択」からの回答の一つ。自ら健やかさを獲得しに行く術を知っておこう。ヘルスリテラシーの高い人々に注目される「バイオロジカル検査」を解説する連載『最先端検査ってナンだ!? シリーズ』。今回は「マイコトキシン検査」について。
栄養の過不足や代謝の傾向を割り出す有機酸検査、毒性化合物をスクリーニングするTOX検査、これらに続く第3弾は「マイコトキシン」検査なるもの。
今回も手ほどきをしてくれるのは、スクエアクリニック副院長の本間龍介さんだ。
「マイコトキシンというのは、カビ毒の総称です。カビ毒とはカビそのものではなく、カビが作り出す毒素のこと。カビは加熱すれば死にますが、カビ毒は熱に強く、加熱しても無毒化できないというのが特徴です」
カビ毒もまた、人体に悪影響をもたらすことが分かっている。全身症状でいえば疲労や脱力、神経系なら認知機能や集中力の低下、消化器なら腹痛や下痢、呼吸器なら息切れや咳、目なら光過敏、運動器なら筋肉痛や関節痛などなど。
「なかでも神経障害の症状が表れることが少なくありません。というのは、カビ毒は脂肪に蓄積しやすく、脳の神経細胞膜の大部分は脂肪でできているからです。子どもだったら神経障害でおねしょをしたり、大人になったら頻尿になったり。歳のせいばかりじゃなくマイコトキシンが原因の場合も結構あるんです」
毒性化合物と同様、マイコトキシンは不調を訴えても医師から「原因不明」と言われてしまう不調を引き起こすリスクが高いというわけだ。カビ毒は主に食品に含まれている。目に見えないものなので、それらを知らずに口にし、神経細胞内に溜め込んでいる可能性もある。
ならば調べてもらいましょう。尿の検体から試薬を用いて11種類のマイコトキシンをスクリーニング。編集ワタベとライターうらん、検査も3回目となれば、ココロの準備は万端という肝の据わりっぷり。フタを開けて肝を潰さないことを祈る。
アスペルギルス、ペニシリウム、スタキボトリス属、フザリウム、カエトミウムグロボスム
カビが作り出す毒、マイコトキシンは日々の食事で密かに溜まっている可能性もあるという。遠い産地の食物を当たり前のように口にしていないか?『ターザン』スタッフ2名、食生活を振り返る。
うらん 検査結果の一番最初に出てくる、このフラフラトキシンってなんですか?
本間 アフラトキシンですね。これはマイコトキシンの代表的なもののひとつです。
ワタベ うらんさん、難しい専門用語をいつも適当に読むのはやめてください。で、そのアフラトキシンってどんな食材に含まれているんですか?
本間 大豆やトウモロコシ、小麦、牛乳、卵、肉、ピーナッツなどですね。
ワタベ どれも普段から口にしてるものだなあ。
本間 穀物自体に多く含まれているんですけど、とくに海外から輸入された大豆や小麦に、より多く含まれています。湿度の高い赤道直下の海を長い時間をかけて渡ってきますから。
ワタベ ああ、湿気でカビが生えてどんどん毒を作り出しちゃうんですね。
うらん えっ! てことは、南半球から来てるコーヒー豆とかヤバいんじゃないですか?
本間 そうですね。コーヒーにはオクラトキシンというカビ毒が含まれています。これは神経毒といわれる毒です。
うらん し、神経毒? なんかすっごく怖い響き…。
本間 慢性的な疲労やアルツハイマー病、パーキンソン病になるリスクが高くなります。
うらん うわ〜、毎朝コンビニのコーヒー買って飲むのがルーティンです〜! 最近、物忘れがひどいのはそのせい〜??
ワタベ うらんさんが忘れっぽいのはだいぶ前からですよ。じゃあ先生、肉も輸入牛とかは要注意なんですか?
本間 そうですね。でも国産の豚や牛でもマイコトキシンの害はありますよ。エサの大豆やトウモロコシは輸入ものですから。
ワタベ そうか〜! 僕、タンパク質補給のために3日にいっぺん立ち食いステーキで肉800g食べてます、ヤバい〜。
うらん いやそれ、カビ毒以前に食べ過ぎじゃん!
本間 結婚式などでたまにステーキを食べるのならいいですけど、日常的に口にするのは避けた方がいいと思います。よりリスクを避けたいならグラスフェッドのビーフをおすすめします。
うらん 他によく口にするものでリスクが高いものって?
本間 輸入もののワインやチーズ、スパイスなどにもオクラトキシンが多く含まれています。
ワタベ 僕、下戸だから大丈夫です。輸入もののチーズもあんまり食べないし。
うらん 私も焼酎派だからセーフ。毎日のようにワイングラスぐるぐる回してチーズ齧ってる人は要注意ですね。
本間 でも、お二人ともアフラトキシンもオクラトキシンも正常範囲。その他のマイコトキシンもほとんど溜まってませんよ。
ワタベ・うらん ほっ、よかった〜! これからはコーヒーもステーキもほどほどにします!
ワタベ でも先生、日本は食糧自給率が低いですよね。小麦とかは85%くらい輸入に頼ってるし。
本間 そうですね。輸送の時間が長い穀物に関しては、やはりリスクが高いです。それに小麦はグルテンによるリーキーガットのリスクもありますし。
うらん ダブルで気をつけなきゃいけないんですね。そしたら先生、産地ができるだけ近いものを食べればいいってことですか?
本間 それはすごく大事なことです。昔は地のものしか口にしていませんでした。魚が獲れない産地では肉を、肉が獲れない海辺では魚を食べるというように。
ワタベ 地産地消ですね。今は大型スーパーで全国どこでも同じものが手に入るもんなぁ。
本間 だからこそ、同じ嗜好品ならコーヒーより緑茶、野菜なら輸入ものより国産を選ぶことが大事なんです。それで100点というわけにはいきませんが、リスクを下げることはできます。
うらん なるほど、中国産やスペイン産より高くても青森県産のニンニクを買った方がいいんですね!
ワタベ 僕たち今のところマイコトキシンの数値は正常ですけど、これから先、蓄積したときの対処法はどうしたらいいんでしょうか?
本間 毒性化合物の対処と同じく、クロレラやクレイという粘土、グルタチオンなどの解毒物質を摂取することです。それとニンニクや生姜、ネギ、ブロッコリーなどの硫黄系の食物も解毒を助けてくれます。
ワタベ よし! 青森産ニンニクと谷中生姜と深谷ネギを買って帰るぞ!
うらん 私はベランダ菜園キットを買って帰る!
本間 ちなみに産地が遠い食品をできるだけ避けて、サプリメントや野菜で解毒をしていくと痩せる人が多いんですよ。
うらん えっ! そうなんですか? 解毒で痩せる!?
本間 カビ毒はほぼすべて脂溶性なので体内の脂肪に溜まります。40代、50代になると、脇腹や背中に脂肪がついてきますが、解毒するだけで5cmくらいウェストが細くなったという人もいるんです。
ワタベ・うらん 5cm減! そのココロは一体?
本間 仮説ですけど、毒素が溜まると脂肪細胞の代謝が落ちるのかもしれません。その毒が減ることで代謝が上がって体脂肪が減っていくと考えられます。
うらん おお〜、今日から早速解毒に努めます!
内科一般の保険診療だけでなく、国内でいち早く副腎疲労外来を設けたパイオニア的クリニック。このほかにも完全予約制のデトックス外来、アスリート外来、ダイエット外来など、さまざまな自由診療を手がける。徹底的な患者目線の医療には定評あり。
TEL:044-511-4191
取材・文/飯田橋うらん イラストレーション/上田よう 取材協力/本間龍介(スクエアクリニック副院長)
初出『Tarzan』No.814・2021年7月8日発売