いきなり運動して痛みが発生。ならば、太腿まわりをほぐすべし
使いすぎている部位を緩める静的なスタティックストレッチと、あまり使わない部位を刺激する動的なダイナミックストレッチの2種類。トレーナーの中村正彦さんに教えていただきました。
取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/中田真代 監修・指導/中村正彦(A SIDE STRENGTH & CONDITIONING代表)
(初出『Tarzan』No.772・2019年9月12日発売)
太腿の覚醒度をチェック。
カラダの中でも負荷のかかりやすい膝関節のトラブルはスポーツと関連が深い。たとえば、ランニングやサッカー、バスケットボールなど、連続的に膝に負荷をかけたりジャンプを伴うスポーツによる膝痛。
「こうした膝痛は膝まわりの靱帯や半月板、筋肉の炎症によって生じる治療の対象になる痛み。これに対して、ストレッチで改善できる膝痛は太腿の前の筋肉、大腿四頭筋が硬くなり、膝蓋骨を引っ張ることで起こるタイプのもの。整形外科では異常なしと診断される痛みです」(トレーナーの中村正彦さん)
チェックするのは「覚醒度」とでも呼ぶべき、太腿の機能性だ。左右の手の甲をお尻の後ろにつけてグーを握る。背すじをまっすぐ伸ばしたまま、左右の膝を交互に素早く曲げ、踵でグーにタッチする。
踵でグーにタッチできた場合は、大腿四頭筋が素早い動きに適応し、伸展できている。踵がグーに触れない場合は、普段の運動不足で大腿四頭筋が硬くなっている可能性が高い。どちらか一方がつかない場合は、そちら側のストレッチを念入りに。
普段、運動不足の状態で、休日に張り切ってトレッキングに出かける、子どもの運動会で短距離走に参加する、付き合いで10kmのマラソンレースに出る。その翌日、膝の痛みに悩まされたら、それは大腿四頭筋が硬く、膝蓋骨が引っ張られた状態で動き続けたから。
すべては運動しなければ生じない痛み。でも普段からのケアでいつでも動けるカラダを整えておく方が断然カッコいい。
1. 下半身全体をほぐす(左右各10回)
左足を前、右足を後ろにして大きく脚を開き、左膝を曲げて上体を前傾。右手は床につけ、左手を添える。このとき右脚の付け根が伸びる。次に右膝を床につけて左膝を伸ばして腰を後方に引く。左の太腿裏が伸びる。逆も。
2. 大腿四頭筋を伸ばす(左右各10回×5セット)
膝蓋骨を引っ張っている大腿四頭筋をしっかりストレッチ。床に横になり、上側の足首を同じ側の手で持って踵をお尻に引き寄せる。気持ちいいところでキープ。腰を反らさないように。反対側も同様に。