Q6. 腸内環境が整うと免疫はアップする?
A. 和食が腸内環境を安定化させて免疫をサポート。
腸内には100兆個もの腸内細菌が棲み、挙動は健康を左右する。免疫はどうか。
免疫細胞は腸内細菌を常時見張る。その基地が小腸でリンパ球が集まるパイエル板。増殖した細菌が侵入しないよう、IgA抗体という物質で制御する。腸内細菌がパイエル板を介して免疫を刺激するので、免疫レベルは保たれる。持ちつ持たれつだ。
負の側面もある。戦後、自己免疫疾患の多発性硬化症やクローン病が急増したのは、食の欧米化による腸内環境の変化に起因するらしい。
「多発性硬化症は、欧米型の食事で増える腸内細菌が出す成分と、神経細胞が出す成分がたまたま似ており、免疫細胞が誤って神経細胞を攻撃して起こるという説が有力です」
免疫の健全化には腸内細菌の安定化が不可欠。そのためにはすでに定住している腸内細菌を大切にすべき。
「日本人の腸内細菌には食歴が長い和食が合う。さらに食物繊維がリッチだと、腸内で腸内細菌のエサにもなるし、繁殖の土台にもなって腸内細菌のバランスが整ってきます」
PROFILE
河本宏(かわもと・ひろし)/1961年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学ウイルス・再生医科学研究所副所長血液細胞の分化過程を解明する傍ら、iPS細胞技術を用いた治療用再生T細胞の作製研究も進める。免疫学者ロックバンド〈Negative Selection〉リーダー。今回趣味のイラストで免疫を優しく解説。