1日30分の「シンプル&単純なリズム運動」、3か月で目覚めスッキリ!

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/有田秀穂(東邦大学名誉教授、セロトニンDojo代表) メソッド作成/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ)

(初出『Tarzan』No.769・2019年7月25日発売)

大事なのは、セロトニン神経の「活性度」。

心臓バクバク、こめかみピクピク、拳ブルブル。大きなストレスがかかると脳の中のノルアドレナリン神経系が反応し、交感神経フル稼働。「私はこれを“脳内危機管理反応”と呼んでいます」とは、東邦大学名誉教授・有田秀穂さん。

ところが、危機に陥ってもいないのに交感神経優位な状態が続くと心身の不調に繫がってしまう。そこで、ノルアドレナリン神経を抑制するのが、やはり脳内のセロトニン神経。

「セロトニンによってノルアドレナリンの暴走が抑制されると交感神経から副交感神経優位な状態にシフトします。でも、セロトニンの役割はそれだけでなく、覚醒時、副交感神経から交感神経優位な状態にスイッチするときにも働きます」

セロトニン神経の大もとは脳幹の縫線核と呼ばれる部分に存在する
セロトニン神経の大もとは脳幹の縫線核と呼ばれる部分に存在する。ここで神経伝達物質のセロトニンが生成され、大脳辺縁系、大脳皮質など脳の広い範囲に張り巡らされたセロトニン神経によって情報が伝えられる。

ポイントは、打楽器系の「リズム」にあり。

交感神経から副交感神経へ、副交感神経から交感神経へ。セロトニンはそれぞれのスイッチ時に働く調整役。

「歩行、呼吸、咀嚼といった生命に直結するリズムのパターンジェネレーターはセロトニン神経の周囲に存在します。このため、意識的なリズム運動が効果的なのです」と有田さんが解説するように、セロトニン神経の活性度を上げるのがリズム運動なのだ。

では音楽に乗ってカラダを動かす? いやセロトニンが生成されるのは、原始的な脳といわれる脳幹。歌詞やメロディのある音楽で高度な思考作業を司る大脳皮質を働かせると、その活性度が鈍ってしまう。

「打楽器系のリズムに合わせてカラダを動かすこと。階段の上り下りなど単純な運動がおすすめです。脳内の乳酸が増えるとセロトニン神経の活性が落ちるので疲れたらすぐやめることもポイント。呼吸の中枢も脳幹にあるのでとくに吐くことを意識して行うとベターです」

さあ、1日30分のリズム運動を3か月続けると、覚醒時のセロトニン分泌量が増えて目覚めスッキリ!

リズム運動のポイント
  • 疲れたらすぐやめる。
  • メロディや歌詞ではなくリズムに合わせて行う。
  • 集中して行う。
  • 呼吸は吐くことを意識して。
  • 理想は毎日30分間。
  • できれば1日3回行う。

忙しい平日には1回1分間の運動をチリツモ方式で。

1日30分というけれど、平日まとまった時間を確保するのは難しい。まして外からの情報を遮断し、集中して行うとなると、なおさらだ。

そこで、ウィークデーは空いた時間にちょいちょい行えるようなシンプルなリズム運動をピックアップ。電車待ちの駅のホームで、昼休みの公園で、入浴の前後に。場所とタイミングに見合った運動を選択し、とりあえず1分間行ってみよう。

ここで紹介するのは、セロトニン活性化と同時に肩こりや腰痛改善にも繫がる、一粒で2度おいしいリズム運動。チリツモ方式でトータル30分、リズム運動をこなしていけばカラダすっきり、翌朝の寝覚めもシャッキリ!

1. 体幹ネジネジ

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体幹ネジネジ
でんでん太鼓のように左右交互に体幹を捻る。
体幹ネジネジ
両手を自然に振り、カラダに巻き付ける。肩こり予防にも。1分間ネジネジ。

2. 胸椎パカパカ

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胸椎パカパカ
背中を丸めて両腕をクロスさせた姿勢から
胸椎パカパカ
腕を開いて思い切り胸を張る。この動きをリズミカルに。猫背予防の効果もあり。

3. 骨盤グルグル

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骨盤グルグル
両手を腰に当て、できるだけ大きな軌道で骨盤をぐるぐる回す。
骨盤グルグル
右に回転させたら今度は左と左右交互に。腰痛予防の御利益も。

4. 股関節ビューン

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股関節ビューン
右脚を大きく引き上げると同時に上体を左斜めに傾けて両手を伸ばす。
股関節ビューン
これを左右交互に。股関節と脇腹ストレッチにもなる。

5. 全身ブンブン

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全身ブンブン
左頭上に引き上げた両手を思い切り振り下ろして右頭上へ。
全身ブンブン
続いて、逆動作。
全身ブンブン
胸椎の回旋、股関節の内外旋の要素が入った全身運動。