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喫煙、飲酒も危険! 歯周病を防ぐための歯磨き改善講座

毎日歯磨きをしていると安心するのは大きな間違い。30代で歯周病が進んでいる人はとても多い。歯磨きを改善するためのキホンと、8つの歯磨きのやり方。

皆、他人事じゃない歯周病。その傾向と対策

歯磨き粉のCMでよく「歯周病対策に!」って言われるけど、結局年をとってからの話でしょ? それに俺、毎日ちゃんと歯磨きしているもんね。

そんな呑気に構えている人こそ、いつの間にか歯周病に罹ってしまうかもしれない。そう警鐘を鳴らすのは日本歯科大学生命歯学部で准教授を務める関野愉先生だ。

「歯周病はプラーク、つまり歯垢が歯と歯茎の境目の溝の部分に溜まり、歯垢に含まれる細菌が停滞して歯肉が炎症を起こして赤くなったり腫れたりする疾患です。進行すると歯周ポケットが次第に深くなり、歯を支える土台が溶けて歯がぐらつき始め、最終的には抜歯の必要が出てくるのです」

怖いのは、これらの症状は進行中に虫歯のような痛みをほとんど感じないこと。ゆえに歯周病は「サイレントキラー」とも呼ばれるわけだが、気付いたときにはもう手遅れ、なんてことにもなりかねない。そして下のグラフの通り、30代でもすでに歯周病が進んで、歯周ポケットが深くなってしまっている人は非常に多い。

歯周ポケットが4mm以上の人の割合
歯周病が進行していることを示す歯周ポケットが4mm以上の人の割合。20代後半~40代でもかなり多いことがわかる。このうち、歯周ポケット6mm以上の重症患者も同年齢で少なからず存在する。〈平成28年度厚生労働省歯科疾患実態調査より〉

「歯周病は遺伝など避けにくい要因もあって、さらに糖尿病患者の場合に歯周病が悪化しやすかったり、逆に歯周病により糖尿病が悪化するケースも。他にも歯周病が一因となって罹る病気が存在します。ただし生活習慣の改善で進行を防ぐことも可能です」

代表的なのは大量喫煙と大量飲酒をやめること。とくに喫煙は歯周病の進行を早め、治療への反応を鈍らせることがわかっている。また、大量飲酒は口内に糖を多く残したり、唾液の分泌を抑えるため口内環境を悪化させる危険性がある。そのうえで、毎日しっかり歯磨きしよう。歯周病の予防は、一にも二にも歯磨きからだ。

喫煙しながらのダラダラ飲みは要注意
飲酒とタバコがセットの人は歯周病リスクが高い。アルツハイマーと歯周病の関連も囁かれているから、サクッと切り上げる癖を。

すべては歯周病を防ぐため。歯磨き改善講座

毎日、歯をどうやって磨いていますか?と聞かれても即答できないくらい、普段の歯磨きは無意識に行っている。

しかしその何も考えない磨き方が、いつの間にか口内環境を悪くして歯周病の温床を作っている可能性だってあるのだ。

歯磨きにも基本ルールが存在する。まず守りたいのは、1日2〜3回、定期的に磨くこと。虫歯の原因となる歯垢と食後の口内に残る糖をしっかり除去するためで、放っておくと糖が分解されて酸が発生し、歯の腐食の原因になってしまう。

しっかり磨けるからと硬めのブラシを選ぶのは避けるべき。歯磨き粉の中には研磨剤が入っているタイプもあるので、歯の表面のエナメル質を傷つけてしまう恐れがある。ふつう~やわらかめを選ぼう。それと同じ理由で、力を入れて磨くのもご法度。軽く小刻みに磨くよう心がけたい。

そのうえで、本当に自分に合った磨き方を見つけるといいだろう。左の通り、磨き方のメソッドはこんなにある。子どもの頃に身につけた方法は、本当に正しい磨き方なのか? これを見てやり方を変えるもよし、歯医者に行ったときに医師に相談するのもよし。

歯磨きのやり方はこんなにある

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フォーンズ
1. フォーンズ法
上下の歯を軽く嚙み合わせて、ブラシの毛先を歯の表面にまっすぐ当てて円を描くように上下の歯を同時に磨いていく。裏側は毛先を当てて前後に細かく動かして磨く。手に力のない子どもや高齢者に適した磨き方。

IVM
2. IVM法
毛先を歯に垂直に立てて先端部が歯茎にかかる程度に軽く当てる。次に歯周ポケットを起点に上げ下げを繰り返しながら徐々に横に移動していく。裏側はブラシの踵部分を歯周ポケットに90度に当て、一本ずつ縦方向に磨く。

ゴッドリープ
3. ゴッドリーブ法
歯ブラシを横持ちにし、毛先を歯の表面に当ててブラシをたわませ、歯間にもブラシが入るようにする。次に小刻みに上下に動かして歯を一本ずつ磨いていく。歯と歯の間のブラッシングにも適している。

つまようじ
4. つまようじ法
下の歯の場合、毛先を上に向け、歯と歯茎の境目にブラシを当てる。そのまま毛先が歯の先端に向かって滑るように動かし、元の位置に戻す。これを1か所につき10回程度繰り返す。上の歯は毛先を下に向けて同じように。

スクラピング
5. スクラビング法
ブラシを横向きにし、毛先を歯の表面に直角に当てて、毛先が歯と歯の間に入る程度に軽く押し付ける。そのまま左右に振動させて歯を一本ずつ丁寧に磨いていく。嚙む面も同様にブラシを直角に当て、左右に往復させる。

バス
6. バス法
歯と歯茎の間に毛先を45度に当てて歯周ポケットに軽く入る程度にし、小刻みに左右に動かして一本ずつ丁寧に磨いていく。力を入れると歯茎の歯肉を傷つける恐れがあるので、ブラシのグリップは軽く握ること。

ローリング
7. ローリング法
毛先を歯と、軽く歯茎にかかるようまっすぐ当てる。次に毛先を小刻みに振動させて下の歯は下から上へ、上の歯は上から下へブラシをローリングさせて歯茎と歯を同時に磨く。嚙み合わせ面は毛先を前後に動かして磨く。

チャーターズ
8. チャーターズ法
毛先を歯の嚙み合わせ部分に対して45度の角度に軽く押し当てる。次にそのまま歯茎の方へブラシをずらしていき、歯肉に当たったところでブラシを小さくローリングさせて一本ずつ磨いていく。

教えてくれた人:

関野 愉さん(せきの・さとし)/日本歯科大学生命歯学部准教授。歯周病専門医、指導医として多くの臨床経験と知識を持つ。著書に『歯科衛生士のための臨床歯周病学のエビデンス活用BOOK』(クインテッセンス出版)など。

(初出『Tarzan』No.743・2018年6月14日発売)

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