- 整える
タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
PR
2021年の東京五輪で歴代最多のメダルを獲得した日本選手団。あの夏にパフォーマンスを発揮するため、選手たちはどのような食事をしていたのだろうか。
鈴木晴香さん
すずき・はるか/管理栄養士。味の素オリンピック・パラリンピック推進室 ビクトリープロジェクトグループ所属。〈JOC G-Road Station〉献立作成担当。個々の選手の栄養摂取の目標値を設定、助言するなどの取り組みも行う。
東京五輪で58個のメダルを獲得した日本選手団。期間中、世界中の食事が揃う選手村食堂とは別に、彼らのために栄養補給の拠点が設けられていた。その名も〈JOC G-Road Station〉。東京2020オフィシャルパートナーである味の素がJOCに協力する形で、食事を提供した。
同施設は16年リオ五輪から開設されており、海外でも和食でしっかりチャージできると好評を得ていた。献立担当の鈴木晴香さん、今回はどんなコンセプトだったんですか?
「試合前、試合後の利用を想定し、エネルギー補給と疲労回復に重きを置きました。本番のためにエネルギーを溜めていくこと、試合後確実に疲れを取り、体力を回復させていくこと。その2つに特化した献立を日替わりで用意したんです」(鈴木さん)
気になるメニューは下の通り。主菜と汁物は毎日2種類用意され、副菜、ご飯がつく。デザートも砂糖ありor低カロリーから選べた。
試合前にしっかりエネルギー補給するべく、ご飯が進むよう主菜の味付けを濃いめにしたほか、イモやカボチャを食材に取り入れ、ご飯類以外からも炭水化物を摂れるよう工夫されている。
カラダのコンディションを整えるために、ビタミンA、C、Eが豊富な緑黄色野菜などをふんだんに使っているほか、疲れていても食べやすいようあっさりめの味付けに。
「エネルギー補給目的の主菜と汁物は濃いめの味付けにして、ご飯がモリモリ食べられるようにしました。逆に、疲労回復目的の方は試合や練習の後でも食べやすいようあっさりめの味付けに。野菜類は量をしっかり摂れるようおひたしや煮びたしにするなど工夫しています」(鈴木さん)
全メニューに共通するのが、出汁をしっかり利かせることだった。
「夏は胃腸が冷えがちになりますし、試合のプレッシャーで胃腸の動きが悪くなることも。出汁を摂ることで動きは活発になり、食欲増進が期待できます。暑い時期だと避けがちになる汁物も、たくさんの具を入れ、出汁を利かせることでおいしく飲めて、ご飯のおかずにもなりますからね。
白米だと食が進まない選手のために、具入りのだし炊きご飯もメニューに加えました。また、今回は初の試みとして“飲むおだし”を用意。選手の皆さんには最初にこれを飲んでいただき、胃腸をしっかり動かしてから食べてもらったんです」(鈴木さん)
もうひとつ気になるのが毎日の餃子。アスリートギョーザとして、皮が厚く具はエネルギー代謝を助けるビタミンB1が豊富な豚肉を使用し、ピリ辛の味付けが食欲をそそる“エナジーギョーザ”と、鶏挽き肉と野菜をたっぷり使った“コンディショニングギョーザ”の2種を用意。さらに脂分を控え、完全栄養食に。
「今後も“出汁”のパワーで選手たちをサポートできればと思います」
取材・文/黒田創
初出『Tarzan』No.819・2021年9月22日発売