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ラグビーワールドカップ2019、日本の快進撃を支えた影の立役者 “ラピース” はこんな男

撮影/長岡洋幸 ©️JRFU

令和元年を象徴するスポーツイベントとなった「ラグビーワールドカップ2019」。日本代表躍進のキーマンとなったハードワーカー、“ラピース”ことピーター・ラブスカフニ選手に聞いたワールドカップのこと、ラグビーの魅力。

全5試合出場の頼れるフランカー。

初戦のロシア戦でターンオーバーから50mを超える独走トライを決め、まだ固さの残るチームに一気に勢いをもたらすなど、ワールドカップ全5試合に出場して非常に印象的な活躍を見せてくれた“ラピース”ことピーター・ラブスカフニ選手。

そんな南アフリカ出身の頼れるフランカーの日本代表初キャップは、実はワールドカップ直前のこと。7月のフィジー戦で代表デビューを果たしたとき、彼はどんな思いを胸に桜のジャージをまとったのだろうか。

ピーター・ラブスカフニ選手
ピーター・ラブスカフニ/1989年、南アフリカ・プレトリア生まれ。スーパーラグビーのブルズを経て2016年に現所属のクボタスピアーズに加入。2019年7月27日に行われたフィジーとの強化試合で日本代表初キャップを獲得。2020年1月12日のジャパンラグビートップリーグ開幕戦、クボタスピアーズは県営熊谷ラグビー場でパナソニック ワイルドナイツと対戦。以降のスケジュールは「クボタスピアーズ公式サイト」をチェック。
撮影/井出野下貴裕

「来日当初は(日本代表入りを)一番の目標にしていたわけではありません。しかし日本に住みながらスピアーズでプレーしていくなかで、まずは日本で長くラグビーをしたいという気持ちが生まれ、そこから自然と日本代表に対する情熱のようなものが湧いてきましたね。だからフィジー戦で初出場した時には本当に誇らしかったですし、ワールドカップ本大会に向けて気持ちが一気に高まりました」

ラグビーは、自分のためにプレーするのではない。

ラピース選手がクボタスピアーズに加入したのは2016年。かつて南アフリカ代表にも招集された経験を持つ実力者は、来日以前から日本のラグビーのレベルが飛躍的に向上していることを認識していたという。きっかけはあの2015年のワールドカップイングランド大会だ。

「ブライトンで私の母国である南アフリカに日本が勝利したあの試合をテレビで観て、感銘を受けたことが来日を決めたきっかけの一つです。しかし、実際にプレーしてみると、日本のラグビーのレベルはむしろ考えていたよりもずっと高かった。

だからこそ私も常にチャレンジ精神をくすぐられ、こうしてスピアーズや日本代表でのプレーを心からエンジョイできているのです。今回のワールドカップを機に、今後日本のラグビーのレベルはさらに上がっていくのではないでしょうか」

ピーター・ラブスカフニ選手
撮影/長岡洋幸 ©️JRFU

ワールドカップ序盤はリーチ マイケル選手に代わってゲームキャプテンを務め、また要所でフランカーの見せ所でもある“ジャッカル”も連発。献身的かつ情熱あふれるプレーで日本の攻守両面を力強く支えたラピース選手だが、その屈強なメンタルとハードワークを生み出している源とは?

「自分としては、“どれだけチームのためにカラダを張れるか”という部分を常にプレーする上でのファーストプライオリティに置いています。スピアーズでも日本代表でも、選手たちはチームや国のシンボルであるという意識を強く持ってピッチに出るべきだと思っていますから。

言い換えるならラグビーというのは自分のためにプレーするのではなく、チームメイトのため、クラブのため、国民のために闘うスポーツなのです。さらに言えば多くの子供たちに何かしらのインスピレーションを与えるためにプレーしなくてはならない。その思いこそ、苦しいときにハードワークができる最大の要因になっていると思います」

“負けず嫌い”がフィジカルを育む。

その強固な意志をピッチ上で体現しているのが189cm、101kgの筋骨隆々としたカラダ。ポジションに関係なくパワーとスピードを兼ね備えることが求められる現代ラグビーにおいて、ラピース選手はどのようにしてあのグラディエーターのようなカラダを作り上げているのだろうか。

「ラグビーにおいてフィットネスは非常に重要ですが、常に100%のコンディションを維持するのはトップ選手であってもなかなか難しいものです。それでも、共に切磋琢磨できる仲間がいることで日々ハードなフィジカルトレーニングにも向上心を持って臨むことができています。それに私は負けず嫌いですので(笑)、例えばベンチプレスで誰かが記録的なウェイトを挙げたとしたら私はさらにその上にチャレンジします。

そのように選手間で良い意味での競争をしながら、自分たちの限界を超えていくことに意義を感じていますね。とはいえ人生は何事もバランスが大事。カラダもメンタルも追い込むだけではなくリカバリーが必要。試合後はブレイクをし、家族との時間を楽しみ、しっかりリフレッシュされた状態で“月曜日”を迎えてこそ良質な仕事に繋がるわけですから」

“次への備え”は試合直後から始まる。

ピーター・ラブスカフニ選手
撮影/長岡洋幸 ©️JRFU

あの熱狂から約2ヶ月。現在は、年明け1月12日のトップリーグ開幕に向け、再び心身共に“ギア”を入れ直している最中というラピース選手。ワールドカップの大舞台で得た経験が、トップリーグでのプレークオリティを高めるための新たな礎になると確信しているようだ。

「あらゆるスポーツにおいて当然のことと言えますが、今年のワールドカップで“準備”の大切さをあらためて学びました。何かを成功させたければ、それを願うだけではなく、達成までの道筋を見据えながら的確にアプローチしていかなくてはなりません。すなわち、次の試合に向けてしっかり頭を使って考え、備えること。

その備えというのは一つの試合が終わった瞬間から始まっていて、その試合の結果やパフォーマンスをいかに次の試合に活かすかという課題を即座に理解する必要があります。トップリーグの新シーズンでは、そのあたりをより意識して勝利を目指したいですね」

ピーター・ラブスカフニ選手
撮影/長岡洋幸 ©️JRFU

ラグビーを通して感じる喜び。

“にわかファン”という言葉が世の中を駆け巡るなど、今年のワールドカップは多くの人々にラグビーというスポーツが持つ独自の魅力を気づかせた。おそらくトップリーグの各会場には多くの観客が詰めかけることだろう。何よりラピース選手自身も、そんなラグビーに心酔している1人だ。

「チームスポーツですから時には苦しかったり居心地が悪い状況に陥ることだってあります。それでもチーム内の規律を守り続け、自己犠牲の精神を貫く。そのような側面が他のスポーツ以上に色濃く表れるのがラグビーの魅力だと思いますし、だからこそラグビーをプレーすることが誇らしく、そして楽しくもあります。ラグビーは、アスリートとしてだけでなく、人間としての成長にも繋がるスポーツだと信じていますよ」

ピーター・ラブスカフニ選手
撮影/井出野下貴裕

最後に「プレーしていて最も喜びを感じる瞬間とは?」という質問を彼に投げかけてみた。その答えに、ラピース選手のすべてが詰まっている気がした。

「う〜ん、一つに絞るのは難しいですね(笑)。1試合、いや、1日の練習の中であってもいろんなチャレンジがありますし、それがどんなに小さなことであっても達成できれば喜びを感じますから。

それに、自分だけじゃなくてチームメイトたちが良いプレーをした時も心から嬉しいですし、彼らが勝利して喜んだり、試合後に楽しそうに食事をしている姿を見るのも大好きです。ラグビーとは、そういうスポーツなんですよ」

取材・文/徳原海

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