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釜石市鵜住居にラグビーW杯がやってくる! この町にまた新しいラグビーの記憶が刻まれる

全国12の開催都市・スタジアムにはそれぞれの物語がある。それでも、釜石のスタジアムでの試合はきっと特別なものになる。

「ここで試合をすべき」と強く感じた。

「一番小さいけれど、一番想いが込められたスタジアム」

7月27日、フィジー戦の前に訪れた釜石市民ホールのファンゾーンで耳にした言葉だ。今回のワールドカップは12都市のスタジアムで開催されるが、やはり釜石鵜住居復興スタジアムは特別だろう。

ワールドカップ開催12都市の中で釜石市の人口は最も少なく3万3,317人(2019年6月現在)。スタジアムの収容人数は1万6,000人だ。1978〜84年にかけて新日鉄釜石が果たした日本選手権7連覇を記憶した町は、19年大会の開催地として手を挙げた。

釜石鵜住居復興スタジアムは、“気づき”を与えてくれるスタジアムだ。
観客席にいると、山と海、そして空とも繫がっている感覚になる。“気づき”を与えてくれるスタジアムだ。
フィジー戦のファンゾーンでは試合のライブ中継も行われた。
フィジー戦のファンゾーンでは試合のライブ中継も行われた。

スタジアムが建てられたのは、震災の津波で被害を受けた鵜住居小学校と釜石東中学校の跡地。海と森に囲まれたスタジアムはどこか静謐で、選手や観客の沸き立つエネルギーを包み込む慈愛すら感じる。

建設途中で視察に訪れたワールドラグビーの関係者も「ここで試合をすべき」と開催の意義を強く感じたという。そして、今大会で唯一の新設スタジアムでの試合開催は決まった。

代表応援フラッグにはファンの想いがぎっしりと書き込まれていく。
代表応援フラッグにはファンの想いがぎっしりと書き込まれていく。

オープニングは昨年の8月19日。記念試合の前に“キックオフ宣言”をしたのは釜石高校2年生(当時)の洞口留伊さん。洞口さんは被災した8年前は鵜住居小3年生。地元の中学生を対象にした15年ワールドカップへの派遣に応募して、現地で試合を観戦した。ファン同士が敵味方なく握手する姿に感銘を受けたという。

洞口留伊さんは高校生感謝プロジェクトを通して、町を盛り上げる。
洞口留伊さんは高校生感謝プロジェクトを通して、町を盛り上げる。

ワールドカップで行われる試合を通して「全国や世界へ、釜石からの感謝の想いを伝えたい」と澄んだ目で語る。

フィジー戦前日にはワールドカップの優勝トロフィー“ウェブ・エリス・カップ”が釜石東中学校を巡回して、試合当日の両国国歌は同校の生徒たちが斉唱した。日本代表が苦手のフィジーを翻弄したうえでの快勝という結果とともに、この町にまた新しいラグビーの記憶が刻まれ、受け継がれていく。

津波漂流物として展示される新日鉄釜石の優勝記念ボール
未来館では津波漂流物として新日鉄釜石の優勝記念ボールを展示。

そして、いよいよ釜石にワールドカップがやってくる。9月25日、フィジーvsウルグアイ。10月13日、ナミビアvsカナダ。 “羽ばたき” “船出”がデザインイメージの釜石鵜住居復興スタジアムで、どんな物語が紡がれるだろうか。

取材・文/山口淳 撮影/石井文仁

(初出『Tarzan』No.771・2019年8月29日発売)

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