快適な履き心地を兼ね備える登山靴。マムート《デュカン Lоw GTX》
新開発の金属プレートが搭載された、マムートのトレッキングシューズ《デュカン Low GTX》。この波状のスチールソールのおかげで足裏のねじれが軽減され、これまでにない安定感と快適さが実現する。
取材・文/黒田創 イラストレーション/羽鳥好美
(初出『Tarzan』No.770・2019年8月8日発売)
履き心地にもフォーカスした登山靴。
登山靴に対してどんなイメージを持っているだろうか。長時間履いているとシュータンがずれてくる。アッパーが甲に当たる。やたらとソールが硬くて足裏がパンパンになる…etc。岩場や状態の悪い山道から足を守ってくれているとはいえ、履き心地の点ではそうした不満を抱く人もいるだろう。
そんななかで登場したマムートのトレッキングシューズ《デュカン Low GTX》は、従来の登山靴の機能に加え、履き心地にもフォーカスした一足である。
まず注目すべきはソール。信頼のビブラム社製アウトソールの内側には、ほどよいクッション性を持つEVA製ミッドソールが組み込まれ、さらにその内側には新開発の金属製プレート「スプリングスチールソール」が搭載された。イラスト右側はそのソール構造だが、オレンジ色の金属板がそれだ。
この波状のスチールソールが足の動きに合うため、シューズが思いもよらぬ方向に曲がることを防ぐ。それによって足裏のねじれが軽減されて疲労感が抑えられ、荒れた路面でも横方向への安定性を確保している。また、この構造が踵着地から中足部、そして前足部への体重移動をスムーズにしてくれるのだ。
アッパーはゴアテックス素材が効果的に使われ、防水性を確保しながら伸縮性と通風性を備えている。さらにはシュータンが独立していないのも特徴で、片側は周囲のアッパーとひと続きになっている。
実際に履いてみると、素材のストレッチ具合やシュータンの作りとも相まって、登山靴とは思えない心地よいフィット感が生まれている。もうひとつ付け加えると、足型も解剖学に基づいたものとなっており、特に踵や土踏まずの部分にホールド感がある。
街からトレイルまでシームレスに活躍。
続けて未舗装路を歩いてみたのだが、とにかく着地から離地までソールに安定感があって、体重移動がスムーズというのが第一印象。スプリングスチールソールのおかげかトレッキングシューズにありがちな地面からの突き上げがなく、かつ着地時に足裏でしっかり地面を感じることができた。
足裏全体が使えて、地面をしっかりと摑みながら歩ける感覚なのだ。それはアウトソールとミッドソールのなせる業なのだろう。
舗装路でも履いてみたが、正直に言って長時間でも足裏やふくらはぎの疲労感は少ない。岩場から登山道、さらには街の真ん中まで楽に歩ける進化したハイブリッドシューズ。試し履きしたら必ず欲しくなるはず。