「限界を超えるのにサプリは不可欠」トライアスロン界のレジェンドが語る補給の極意
アテネ〜リオオリンピックでは日本代表として出場、現在は流通経済大学・トライアスロン競技部の監督として後進を指導するレジェンド・田山寛豪さん。エンデュランス系スポーツのキツイ練習を乗り越える支えとして、サプリを効率よく活用していた。自身は「万人に合う絶対解はない。正解は自ら作り出すもの」と語るが、田山さんのサプリ実践法は必ず読者にとっても参考になるはずだ。
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央(サプリ、プロフィール)
(初出『Tarzan』No.753・2018年11月8日発売)
日本選手権に17回出場し、11回優勝。昨年11回目の優勝で有終の美を飾り、一線を退いたのが、トライアスロン界のレジェンド・田山寛豪さん。「限界を超えるのにサプリは不可欠」と言う彼に現役時代のサプリ摂取を振り返ってもらった。
起床は5時。起き抜けにコーヒーを飲み、トライアスロンなど有酸素系トレのエネルギー源となる脂質の代謝を高めるカフェインを摂る。
「朝イチのコーヒーは体調のバロメーター。美味しく2杯飲めるときは調子が良く、1杯も飲みたくないときはコンディションが悪かった」
練習場所に移動したら、6時から2時間の練習。スイムを5000m泳ぐか、もしくはバイク90km+ラン20〜30分を行う。その間、飲むのはルイボスティーなどのお茶だけ。いつまで経ってもサプリのサの字も出てこないけれど、果たしてそれで練習がきちんとこなせるのか。
「大学時代はおにぎりと甘い乳酸菌飲料を摂ってから朝練していましたが、卒業後に加入したチームテイケイ(現在は廃部)の八尾彰一監督(当時)から“前日に摂ったエネルギーと栄養素を使って翌朝練習しなさい”と指導されました。空腹で練習するようになってから、脂質代謝が上がったのかカラダが絞れるようになり、レース中のハンガーノックもなくなって調子が上向きました」
限界を超えるときにはサプリの助けがいる。
現役時代からグリコ《パワープロダクション》と契約し、プロダクトの提供を受けている。「学生たちの大半はクラスターデキストリン(CCD)とアミノ酸を使っています」。
経験を後輩に伝えて、いつか夢を叶えたい。
練習後に摂るのはクラスターデキストリンとBCAA、アルギニン、オルニチン、リジンといったアミノ酸のサプリ。デキストリンとBCAAは筋肉のエネルギー源。アルギニン、オルニチン、リジンは疲労回復を助ける。プロテインは摂らない。
「他にも、インターバルトレのようにタフな練習をする際はBCAAとクエン酸、バイクやランのロング練習の際はクラスターデキストリンをトレーニング時に摂っていました」
就寝前、貧血予防のヘム鉄、エネルギー代謝に欠かせないCoQ10などを摂り、明日の練習に備えた。変化球では、パプリカキサントフィルのサプリがある。これはパプリカの色素。酸素運搬能力を高める作用がある。
彼は現在母校・流通経済大学トライアスロン競技部の監督として後進を指導している。
「サプリに全員にフィットする絶対的正解はない。だから僕が使って良かったものを学生に薦め、合うものを選んでもらっています」
薫陶を受けた次世代トライアスリートが、田山さんが果たせなかった五輪入賞の夢を叶える日を待とう。
田山寛豪
たやま・ひろかつ/1981年生まれ。トライアスリート。NT T東日本・NTT西日本。流通経済大学スポーツ健康科学部助教、同トライアスロン競技部監督。トライアスロン日本選手権で11回優勝。アテネ〜リオの五輪日本代表。