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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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サプリは薬ではないから、摂ればこうなると言えないのが建前。ならば何を選べばいいのか。ケースワーク別に摂りたい栄養素の指針をご紹介!。今回は【生活の質を上げたい!編】。
サプリはあくまで栄養“補助”食品なのだ。メインではなく、アシスタントだ。つまり、食事を摂ることが大前提であって、食事の代わりになるものではないから、朝飯抜きをフォローしてくれるものではない。というわけで、出社前にいそいそ買い食いをと…。
「店頭に並ぶ持ち帰り食品に何かが欠けているわけではありません。そもそもあそこには何もない、エンプティだと考えてください」
そう語るのは本間龍介医師(スクエアクリニック理事長)だ。大切なのは食事と生活習慣。サプリなど枝葉だと断言する。ジャンクフードにエネルギーはあっても、ビタミン、ミネラルは乏しく、保存料など食品添加物はどっさり。こういうものを解毒するため、体内のビタミン、ミネラルや酵素を消耗するから、栄養泥棒を体内に導き入れるようなもの。
だが、「ビタミン、ミネラルにはあまり機能性はなく、体内で調整能力を発揮するのはむしろファイトケミカルでしょうね」と話すのは岩崎真宏医学博士(日本栄養コンシェルジュ協会代表理事)だ。
「近年、トマトのリコピンが体脂肪の燃焼にいいとか、肝機能にいいとか議論が盛んですが、こういうサプリが注目を集めています」
もちろん、ビタミン、ミネラルも大事だが、ユニークな機能を持つ栄養素に関しても勉強しておきたい。求めるものが何かによって選ぶべき役者は変わる。いま知るべき選択肢の整理を試みた。知れば次にサプリの売り場に出かけたときに、迷うことなく素早く正解辿り着けるだろう。
摂るべきは……【トリプトファン、セロトニン】
そう願うのは、あまりいい睡眠がとれていないからでは?
「睡眠の質を左右するのは血流です」と指摘するのはサプリを熟知する矢澤一良博士(早稲田大学)。
「脳疲労の回復には最低でも4時間半の睡眠が必要ですが、中途覚醒のある人が増えています」
睡眠を司るホルモンはメラトニンだが、セロトニンのサプリを摂れば、体内でメラトニンに変換される。
「目から光が入らなくなるとメラトニンを作り始めるので、就寝30分前までに摂って、消灯しましょう」
セロトニンの材料ならその前駆体のトリプトファンでも構わない。「トリプトファンを脳に導き入れるにはインスリンが必要。夜も適量の糖を摂りましょう」と岩崎真宏博士は夕食の大切さを指摘した。
摂るべきは……【トリプトファン、カフェイン、GABA】
脳内血流を改善し、血圧、ストレスを軽減するとされるγアミノ酪酸=GABAは機能性表示食品にも広く採用される人気の成分。
「アメリカではこういう食品を脳の栄養素としてブレインフード、あるいはムードフードと呼んでいます」と矢澤博士。
トリプトファンの不足から、脳内でセロトニンが枯渇気味になると、リラックスできなくなって精神的に不安定になりやすいと岩崎博士。
「セロトニンがある状態で交感神経も優位に保ちたい。そういう場面でものを言うのも糖です。糖がインスリンの分泌を亢進させれば血管は拡張し、脳に糖がしっかり働きます」
糖を摂ると眠気を催す人もいるが、糖が枯渇すると、意欲は確実に低下する。適量の糖は集中力の源だ。眠気を催さないよう同時にカフェインを摂っておくのもいいだろう。
摂るべきは……【ニラ、イソフラボン】
いま現役世代の男性を悩ますのはAGA、おなじみの男性型脱毛症だ。これは男性ホルモン、テストステロンが悪玉で強力なジヒドロテストステロンに変換され、発毛周期を短縮し、薄毛に見えてくるもの。AGAが疑わしければ専門医を受診、治療を受けるべし。
「ストレスから活性酸素を生じて脱毛するケースでは、安全性の高い抗酸化物質としてイソフラボンを摂取するのはお勧めです」と矢澤博士。
「近年の動物実験でニラを食餌として与えた群は、6週間で毛がぼうぼうに生えてきたという報告があります。これに関与したのがニラのどんな成分かはまだ不明ですが」とは岩崎博士からのホットなニュース。
摂るべきは……【コエンザイムQ10、ビタミンB12、L-カルニチン】
記憶力強化の前提には、そもそも肉体が疲れにくい状態にあって、ミトコンドリアがATPをせっせと作り出していることが必要。
「ミトコンドリアの数を増やすには、運動が有効ですが、数が少なくても質がよければ、TCA回路は機能してくれます」と本間良子医師(スクエアクリニック院長)
体内に水銀や鉛が多いとミトコンドリアの機能は低下する。専門のクリニックでデトックス医療を受ければいいだろう。栄養面では、
「L―カルニチンやコエンザイムQ10はミトコンドリアの働きをサポートすると同時に、ミトコンドリアの修復もしてくれるようです」
現代人が不足しがちなビタミンB₁₂は、神経細胞内の核酸の合成に欠かせない物質。たっぷり体内にあれば記憶力、集中力を支え、不足すれば口内炎などを起こす。要注意!
摂るべきは……【リコピン、L-カルニチン、ナッツ(少量)、食物繊維、クロロゲン酸、コエンザイムQ10】
何かを食べたことによって痩せる、夢のような物質はない。
「ただし、トマトのリコピンとコーヒーに含まれるクロロゲン酸には脂肪燃焼を促すという論文が多数出ています」と岩崎博士。
また、食事で摂ったものを小腸の上部で吸収するとGIPという腸管ホルモンが分泌され、脂肪蓄積を強力に推進する。
「なるべく吸収を遅らせるために食物繊維をたっぷり摂りましょう」
また、朝の欠食は昼のドカ食いを招きがちだから、朝は軽く食べ、
「10時半ごろにナッツなどの軽食を100~200キロカロリー摂っておくと、ドカ食いの予防につながります」と矢澤博士はアメリカ生まれの新しい健康習慣、ヘルシースナッキングを推奨する。
女性の多くは脂を警戒し過ぎるので、本間龍介医師はこう語る。
「L―カルニチンのような〝脂〟やコエンザイムQ10を摂ることによって、傷みかけたミトコンドリアを修復できれば、結果的に痩せやすいカラダを手にできるはずです」
摂るべきは……【DHA、ホスファチジルセリン、グリシン、マグネシウム】
近年、脳腸相関、あるいは腸脳相関という概念が定着してきた。脳と腸は迷走神経などを介し、緊密にクロストークをしている。だから、腸内環境をよい状態に保つべきなのは大前提だ。
「鬱っぽい気分の人にはホスファチジルセリンやDHAがお勧めです。長く使うと効きにくくなっていきますが、睡眠導入が目的ならグリシンがいいでしょう」と矢澤博士。
ミネラル不足も感情を左右する。「マグネシウム不足でイライラしがちな人は非常に多いですね。マグネシウムは筋肉の凝りもほぐすし、お勧めです」と本間龍介医師は語る。
マグネシウム不足は虚血性心疾患の一因。不足を放置しないように。
取材・文/廣松正浩 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/越井 隆 取材協力/岩崎真宏(日本栄養コンシェルジュ協会代表理事、医学博士)、本間龍介(スクエアクリニック理事長)、本間良子(スクエアクリニック院長)、矢澤一良(早稲田大学研究院教授、農学博士)
(初出『Tarzan』No.753・2018年11月8日発売)