漢方的視点から紐解く「しもやけと不妊傾向」(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は「しもやけと不妊」の関連性についてをご紹介。
二十四気は大寒に入り、一年で最も寒いとされる時期です。寒い季節のお悩みのひとつに「しもやけ」がありますが、経験したことはありますか?
赤くなったり腫れたり痒かったり、なかなかの厄介者で、水を使うお仕事の方は特にリスクが高いと言われます。実はしもやけは、不妊傾向のサインでもあります。
しもやけの症状と原因
しもやけは手足の指先やかかと、鼻のあたま、頬、耳のふちなど、冷たい風にさらされやすい部位や冷えやすい末梢にできます。寒いことが原因なのは間違いありませんが、血行が悪いこと、そして汗をかきやすい体質もリスクになっています。
しもやけと不妊とは直接は結びつきづらいイメージかもしれませんが、血行不良や冷えなどのキーワードが出てくると、なるほどと思えるところもあるのではないでしょうか。
しもやけに効果的な漢方薬
実際にしもやけに適応のある漢方薬というのは、婦人科のお悩みでよく使われるものばかりです。
しもやけと言えばこれ、という当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)を筆頭に、温経湯(うんけいとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、四物湯(しもつとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の各処方の能効果書きには「しもやけ」が含まれています。
いずれも不妊をはじめとする婦人科系疾患で汎用される処方で、お世話になったことがある方も多いはずです。
冷えをとってカラダを温める処方に、滞っている血の巡りに動きを与える処方、また血流量や水分量をコントロールしてくれる処方たちですから、しもやけにも不妊にも効果的です。
しもやけ対策も妊活のひとつ
子宝に恵まれずに漢方相談に訪れた人に、何年にもわたる根深いしもやけがあった場合、まずはしもやけにいい漢方薬をお出しします。これはとても理にかなっています。
しもやけ体質を抱えたままの妊活は、とても遠回りなのです。むしろしもやけを改善できた途端に妊娠できたという話は漢方の世界のあるあるです。
寒さのピークよりも、寒さが緩んでくるこれからの時期にしもやけは出やすいと言われています。もししもやけかもと思ったら、体質に合った方法で早めの対策をしておきましょう。