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筋トレで太らない4つの理由

運動不足だと年1%ずつ筋肉は減る。体重70kgならワインボトル1本分だ。筋トレはその減少にストップをかけるだけではない。カラダの中身に革命を起こす。体脂肪の燃焼を促して贅肉を追い出し、ホルモンや自律神経といった体内環境にも良い影響を与えて二度と太らない体質に急接近できるのだ。

1. 代謝が上がって体脂肪が燃えやすくなる。

太るか痩せるかを決めるのは、何よりもエネルギー収支。食事から摂るカロリーと、運動などで消費するカロリーの収支が黒字になれば太り、赤字になれば痩せる。

エネルギー収支を赤字にする鉄則は消費カロリーの増量。消費カロリーの60%を占めるのは、じっとしているときでも消費する基礎代謝。その30%ほどを担うのは、他ならぬ筋肉である。筋肉は安静時でも体温維持のために熱を作り出しているのだ。

運動不足で筋肉が減ると基礎代謝と消費カロリーがダウン。エネルギー収支が黒字に傾きやすく、太りやすい。筋トレで筋肉を増やすと基礎代謝が上がり、エネルギー収支が赤字に傾きやすく、痩せやすくなる。

筋肉1kg当たりの1日の代謝量は脂肪組織の約3倍に当たる13キロカロリー。筋トレによるホルモンや自律神経の変化を踏まえると1kgで30〜50キロカロリー近く代謝は上がる。それが消費カロリーを押し上げると、食べても太りにくくなるのだ。

2. ホルモンで太らないカラダになる。

筋トレで筋肉を刺激すると脳から成長ホルモンが分泌される。かつて成長ホルモンはもっぱら筋肥大にタグ付けされていたが、現在では体脂肪を分解する働きの方がクローズアップされており、その効果は筋トレ後最大48時間も続くとか。筋トレ後に普通に生活するだけで、分解された体脂肪が消費されやすいのだ。

加えて筋肉そのものからも、太らない肉体へ導くホルモンのような物質が出ている。たとえば、筋肉から分泌されるインターロイキン6(IL-6)は糖質と脂質の代謝を改善する作用がある。

また最近注目されているのは、筋肉が分泌するサルコリピンというタンパク質。筋肉の収縮に関わるカルシウムポンプを調整する機能は以前から知られていたが、筋肉が活動していないときでもカルシウムポンプを無駄に回してエネルギーを浪費して熱を生み出しているとわかったのだ。

IL-6もサルコリピンも、筋肉が増えるとそれだけ分泌が増えてボディは絞れてくる。

3. 太りにくい筋肉の質に変わる。

筋肉は、パワーに優れた速筋線維とスタミナに優れた遅筋線維を適度にブレンドしたもの。このうち筋トレで鍛えられるのはおもに速筋線維。速筋線維は遅筋線維よりも加齢で衰えやすいが、筋トレはその傾向にストップをかけてくれる。

そして筋トレをすると速筋線維の質が変わる。安静時に体脂肪を燃やしやすくなるのである。

変質の鍵を握っているのはUCP-3という特殊なタンパク質(脱共役タンパク質)。UCP-3は、筋肉内でエネルギーを作り出しているミトコンドリアの膜を貫通している。その働きは、安静時に体脂肪から分解された脂肪酸を空焚きして熱を発生させること(これが前述のように基礎代謝の30%ほどを占める)。

筋肉が肥大するくらいの高負荷な筋トレを続けていると、速筋中でこのUCP-3が増えると判明している。逆にランなどの有酸素運動をやりすぎるとUCP-3が減る場合もあるから、有酸素の頑張りすぎは禁物。

4. カラダが変わるから運動のモチベーションが高まる。

あらゆる運動は継続しないと成果は出ない。たとえ期待した結果が得られたとしても、ワークアウトをやめてしまうと元の木阿弥。一般的にはトレーニングした期間より、短い時間で元に戻るとされている。

そう聞くと鍛える前からうんざりしそうだが、筋トレにはやる気スイッチを入れて一生続けたくなる理由がある。ボディラインの変化だ。

太らないカラダ作りのために筋トレに励んでいると、緩んだボディラインにメリハリが生じて細マッチョな逆三体型に近づける。アスリートはよく「練習は裏切らない」と言うけれど、筋トレだって裏切らないから、やればやるほどボディラインは目指す姿に近づいてくる。変貌ぶりがはっきり目に見えるから、気持ちが折れずに高いモチベーションを保ちながら筋トレが続けられる。

筋肥大には2〜3日おきに週2〜3回ペースで鍛えるのが理想だが、ベストなボディを手に入れて体型を維持するだけなら週1回でもOKだ。

取材・文/石飛カノ イラストレーション/山口正児

(初出『Tarzan』No.749・2018年9月13日発売)

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